国立科学博物館筑波研究資料センター 筑波実験植物園                

2008年6月 2006年2月

                                                         2008年6月25日

 筑波実験植物園で3種類の黒い蘭竜舌蘭が咲いているとの話を聞いてどうしても見たくなり、2年ぶりに行きました。
フロントヤードの教育棟(実験植物園の玄関口です)に展示されいた黒い蘭は、それぞれ別の時期に咲く事はあっても3種類が揃って同時に咲くのは珍しいそうです。花期の長い蘭ですが、見頃はその週一杯で終わりとの事、ちょっとくたびれていたようにも思えますが、でも珍しい蘭の揃い踏みは見事でした。
 その他、この筑波実験植物園は広くて珍しい植物が数が多く育成されていますが、ここでは教育棟で配布されていたパンフレット「見頃の植物」や、特に説明がされていた植物に絞って載せました。どうぞお楽しみ下さい。


コクラン

カタセツム・テネブロスム

エンキクリア・コクレアタ

 竜舌蘭(サバンナ温室)
 葉が肉厚で鋭いトゲを持つことから、伝説上の生物である竜の舌になぞらえて名付けられた竜舌蘭ですが、蘭科の植物ではなく以前はユリ科に、今は独立してリュウゼツラン科に分類される植物です。
 竜舌蘭は別名センチュリー・プランツとも呼ばれています。これは、1世紀に1回だけ花を咲かせ、その株は枯れてしまう(1回結実性植物) と言われている事から名付けられた名前ですが、実際には熱帯で10-20年、日本では30-50年で開花するそうです。どちらにしても滅多に花が咲かず、またいつ咲くのかも分からない植物である事は確かです。筑波実験植物園では、1986年に栽培開始以来30年以上経過し、初めて開花したそうです。

 竜舌蘭はメキシコ原産で、テキラリュウゼツランから製造される蒸留酒「テキーラ」の方が竜舌蘭よりも名が知られているかも知れません。
 今回サバンナ温室で6月に黄色い花が咲き始めたのは「サケリュウゼツラン」花茎は4mほどの高さだそうです。その後ろ側に「2週間後に咲き始めます」と立札が立っていたさらに背の高い方は「アオノリュウゼツラン」です。サケリュウゼツランの花からは蜜が滴り落ちていました。これほど多量の蜜を分泌するにはかなりのエネルギーが必要でしょう。何十年もの間ズーっと蓄えた栄養を一気に使い切って一生を終える竜舌蘭に潔さを感じました。

イトラン (リュウゼツラン科)





 入口に立て掛けられていたカフェの風のボード、本日の資源温室のお勧めメニュー3点です。

 熱帯資源植物温室

 熱帯は、人々の暮らしに役立つ植物の宝庫です。主食になるデンプン源・果物や飲み物になるもの・薬や香料になるもの・工業原料・美しい花や緑など、これらの多くは熱帯がふるさとです。
 この温室には植物の利用目的ごとにコーナーを作って植えてあり、サバンナ温室と繋がっている大きな温室です。  

三尺バナナ

カカオの花

ミッキーマウスの木の実




 熱帯雨林温室
 赤道とその周りのは、水と湿度が豊かなため、地球上で最も多くの種類の植物を生み出してきました。この温室では、東南アジアの熱帯雨林の 低地林と山地林の植物を再現しています。
 低地林
 熱帯の低地では1年中気温が高いので、高さ50メートルを超えるフタバガキ科、クワ科、マメ科などの高木がそびえる森が広がっているそうです。また、着生植物、つる植物など、熱帯でよく目立つライフスタイルをもつ植物も特徴的です。
ヒスイカズラの果実
 ヒスイカズラは、2月に3cm位の翡翠色の花がたくさん集まって1m位の長さの房状になり咲きますが、実は随分大きな(20cm位)物が一つだったので、その差に驚きました。
 山地林
 赤道直下でも標高が高くなるとともに温度が下がり、海抜1000メートル位からは1日のうち数時間は霧に覆われる環境の熱帯山地林に変わります。そこでは日本の温暖帯の植物のルーツとなるブナ科、クスノキ科、ツバキ科、ツツジ科などの植物や、高い湿度に適応した、ラン科やシダ、コケの仲間などの着生植物がたいへん多いのも大きな特徴だそうです。




 研修展示館(屋外実験植物園)
 
 1Fでは植物の基本的な知識の手引となるパネル展示やビデオコーナー、メタセコイアなどの化石などの多数の展示があります。2Fの研究室では絶滅危惧種の説明展示や、絶滅危惧にさらされている植物のうち、蘭科の植物を中心に30種の 種子・組織の「器内培養」の様子をガラス越しに見学する事が出来、実験植物園ならでわの展示を興味深く観て来ました。
 また1Fには水生植物温室↓が併設されており、1年を通して蘭や熱帯の水生植物を観察できます。

ウォーター・ポピー



 屋外実験植物園

 常緑広葉樹林区画から水辺・水中植物区画まで、12の植物区画に整理されています。遊歩道が整備されていて、植物を眺め、説明などを読みながらの散策は、他では味わえない一味違った楽しみがあります。
 紫陽花

ダンス・パーティー



 クレマチス園
 前週まで開催していたクレマチス展は終了してしまったのですが、引き続き普段は解放していないクレマチス園が6月中に限って見学可能でした。見頃はちょっと過ぎてしまったのですが、色々な種類のクレマチスを楽しみました。
 写真↓の上をクリックして下さい。スライドショーが始まります。



2008年6月 2006年2月