2008年6月4日
 山手の薔薇の季節に
   silk tea roses  東洋と西洋が紡いだ美が織りなすハーモニーを五感で楽しむ

 横浜開港150周年を来年に控えて企画されたプレ・イヴェントです。5月29日から6月6日の会期中に、横浜の港と関係の深いお茶、シンボルである薔薇の花をテーマにした展示や講習会、コンサートが催されました。
 5月の天候が不順だったため、あいにくお庭の薔薇の花は咲き揃わず残念でしたが、100年位前に手仕事で丹念に制作されたレースやビーズなどの工芸品を観て、西洋との異文化の交流が始まった当時の日本人は、この異質で華やかな装飾品などをどんな風に受け入れたのだろうかと、日常とは違った事を考えるひと時を過ごしました。
 写真が小さいので分かりにくいかと思いますが、少しだけでもそれぞれの雰囲気を味わって頂ければ幸いです。


 ブラフ18番館

  1900年〜1940年位に作られたビーズ・パーツや装飾品の数々です。シルクのリボンや造花が色褪せずに残っているのは驚きでした。



 外交官の家
 中央の写真はプロダクションドールで飾られた外交官の家の1F。
 2Fにはベル・エポック期の美術工芸品が展示されていました。右の写真の
ヴィンテージ・ドレスは1900年頃のパリ オートクチュール、小物も全てベル・エポック時代の物で、夫人の化粧の間を再現しています。ベル・エポック‐よき時代‐とは、主に19世紀末から1914年に第一次世界大戦が勃発するまでのパリの華やかなりし時代とその当時の文化を回顧して用いられる言葉です。



 ベーリック・ホール
 赤ちゃんの誕生と洗礼を祝う家族と、それに花を添えるアンティークのレースとドレス、アフタヌーン・ティー・テーブルが展示されていました。アフタヌーン・ティー・テーブルに敷かれているテーブル・センターは今回の催しのパンフレットの表紙に使われ、たくさんのピンクのバラが丹念に刺繍されている逸品です。テーブル・フラワーに活けてあるフワフワっと糸みたいな植物は何でしょうか?お庭の花木が花材に使われたようです。



 エリスマン邸

 このお屋敷の初代の主・エリスマン氏は、生糸貿易商社シーベルヘグナー商会の横浜支配人として活躍した活躍したスイス人だそうです。この催しに最も相応しいお屋敷ですね。



 イギリス館
 イギリス館全体がウェディングの華やかで夢のある雰囲気に包まれていました。
 シルクローズで飾られたブライダル・ルームと、マカロンのウェディングケーキでお客様をお迎えするフランス・スタイルのレセプション・サロン、そして薔薇の花で飾られた寝室… と、祝福に満ちあふれています。
 ウェディング・ドレスは40年前の日本製で背中のリボンは帯のイメージ、ベールは1870年頃のベルギー製で、どちらも素材はシルクです。



 山手111番館

 さわやかなレースが窓辺を飾る西洋の普通の家で、インテリアやリネンとしてどのようにレースが使われたか、また現代の日本の家での使い方の提案を各部屋に表現したそうです。
 各部屋には大きなテーブル・クロスから小物まで、数多くのレースの作品が展示されていました。また、ボビン・レースの講習会が催されていて、皆さん熱心に取り組まれていました。
 
 
 コーディネーターさんの拘り
 ウェディング・ドレスが展示されていた玄関脇の小部屋、カーテンには薔薇の飾りが。
そしてキッチン(写真下段)のカフェ・カーテンがマーガレットの柄なのは、食堂との境の扉にマーガレットの柄のガラスが使われているのにヒントを得て…と。
 コーディネーターさんと直接お話出来るチャンスって滅多にないのですが、こう言う小さな工夫は一般の家庭でも楽しめるのではないかと思いながら、楽しいお喋りでした。




 フランス山公園

 いつもは谷戸坂を真直ぐ降りて帰ってしまうのですが、今回は坂の脇にあるフランス山公園を通って駅に向かう事にしました。
 ここはフランス領事館邸があった場所です。1896年(明治29年)12月に完成した初代の領事館邸が関東大震災で倒壊したため、1930年(昭和5年)に再建築されました。2004年に行われた公園として整備する為の調査によると、現在遺構として残っている部分は、タイル張りだった玄関ホールの床と壁だそうです。

 また、遺構の後ろの方にモニュメントとして設置されているのは、当時井戸水の汲み上げ用に井戸の周りに4基あった風車を再現したものです。1909年までは有ったらしい当時の風車の形は、資料が残されていないので正確には分かりませんが、同時代に使われていたフェリス女学院などの風車から「多翼型」であったろうとの推測の基に作られ、青・赤・白のフランスの国旗にちなんだ色に塗り分けられています。



花と器のハーモニー ハロウィーン クリスマス その他
2011 ------ ------ -------
2010 ------ 2010 ------
2009 ------ ------ ------
 2008  2008  2008  山手の薔薇の季節に
2007 2007 2007 ------
2006 ------ ------ ------
  2005 ------ ------ ------